九条の大罪

【九条の大罪】烏丸と有馬の関係は?エリート弁護士の「死者の心境」を考察

「九条の大罪」のエピソードで印象的に語られている烏丸の親友、有馬の死。

誰もがうらやむエリート弁護士だった有馬。

なぜ有馬は死を選んだのか。

烏丸と有馬は将来が約束された大手法律事務所に就職し、弁護士のキャリアを積んでいくはずでした。

エリート弁護士として進む有馬。

イソ弁として九条法律事務所を選ぶ烏丸。

ふたりはそれぞれの道を選択しました。

クールな天才と呼ばれた烏丸は親友の死に何を感じたのか。

今回は烏丸と有馬の関係、そしてエリート弁護士の葛藤と苦悩について考察します。

「九条の大罪」烏丸と有馬の出会い

烏丸と有馬の出会いは東大法学部。

ともに司法試験を勝ち抜いた同志ともいえるふたり。

有馬は、烏丸と出会って自分にかなわない人間がいると知ります。

東大法学部を首席で卒業した烏丸と初めて挫折を感じた有馬。

「お前は天才だよ」と有馬は自分の負けを認めます。

有馬にとって烏丸はライバルであり、理想の自分でした。

かなわない烏丸の才能に嫉妬しながら惹かれていく…その気持ちがいつしか恋愛感情へと変わっていったのです。

烏丸に自分の気持ちを告白する有馬。

烏丸は有馬の気持ちを受け入れられませんでした。

それが有馬を拒否した一度目になります。

烏丸と出会ったことが有馬の人生の葛藤と苦悩の始まりだったのかもしれません。

「九条の大罪」烏丸と有馬・エリート弁護士の葛藤と苦悩

烏丸と有馬は一握りのエリート弁護士しか行くことのできない大手法律事務所に就職します。

弁護士を目指すものにとって夢のような未来が約束されている世界です。

しかし烏丸はわずか一年足らずで大手法律事務所に見切りをつけて辞めます。

有馬はエリート弁護士の道を進みます。

ふたりはそれぞれの道を選択しました。

有馬は、消耗する自分を感じながらも続けていきます。

信条の違いのまま続けていくことに喪失感を感じたのか

それとも自分の力不足を感じたのか

有馬は大手法律事務所での仕事に限界を感じます。

エリート弁護士の集まる大手法律事務所の中で周囲から孤立していました。

エリート弁護士のプライドを捨て九条のもとで居場所を見つけた烏丸。

有馬は心のどこかで烏丸を羨ましいと思っていたのかもしれません。

しかし自分は決して烏丸のような選択ができないと自覚していました。

エリート弁護士の仮面をかぶったまま、有馬は死を選んだのです。

「九条の大罪」なぜ有馬は烏丸に何も言わず死を選んだのか

高級ホテルの一室に烏丸を呼び出した有馬。

一泊10万円の部屋

和食のルームサービス

高価な赤ワイン

それらは有馬のエリート弁護士の成功を物語っています。

烏丸が感じたのは有馬の違和感でした。

いつもきっちりしている有馬のシャツの襟が汚れていたり、ベッドのシーツにしわがないことに気づいたり、解決策を持たず問題提起だけする有馬に珍しいと感じたり。

「何か悩みとかあるのか?」

そう尋ねた烏丸をはぐらかす有馬。

「嬉しいよ、烏丸。お前がそうやって俺に関心を持ってくれてさ」

それは有馬の本心なのかもしれません。

有馬は烏丸に助けを求めることはできなかったのです。

上手くいかない仕事のことも、家庭のことも、自分の抱えている悩みを口に出すことができませんでした。

好きな相手に自分の弱みを見せたくない…

最後までプライドを保ったまま強い自分でいたかったのかもしれません。

だから烏丸に何も告げず、死を選んだのです。

最後に会う人間に烏丸を選んだ有馬。

有馬には自分の決意を烏丸が変えることはないとわかっていたのかもしれません。

もう一度、拒否されることをはじめから覚悟していたのかもしれません。

「九条の大罪」有馬の死と烏丸の心境

有馬の一周忌を迎えて、同じホテルの同じ部屋で有馬を忍ぶ烏丸。

たばこをなぜ有馬が好むのか理解できない烏丸。

しかしあえて有馬が好んでいたたばこをふかし、ワインを空けます。

「もう一杯付き合ってくれ」

有馬からすすめられたワインを断っていなかったら、死を回避することができたのではないかと烏丸は考えます。

自殺を考えたときから5分耐えたら死ななくてすむらしい…

有馬の違和感を感じながらも寄りそえなかった自分に対して、

「あの時、もう少し寄り添っていたら違っていたのかな」

そう回想します。

ちゃんと向き合えば有馬の死は避けられたのか、自問自答します。

「死者の心境」の中で語られたもう一人の自殺者・植田の死の理由について考える烏丸。

独りで助けのない孤独感

どうにもならない絶望感

宗教の信仰を持たないものは、自殺を思いとどまるすべがないと感じる烏丸。

「自殺は本人の問題です」

植田の死について九条は言い切ります。

それは死を選ぶものに対して、まわりが何かをしようと思っても限界があるということ。

植田の最後の言葉、

「うるせぇな。黙って死なせろよ」

これが死者の心境なのかもしれません。

【九条の大罪】烏丸と有馬の関係は?エリート弁護士の「死者の心境」を考察まとめ

東大法学部でともに学んだ烏丸と有馬。

ふたりとも大手法律事務所に入り、エリート弁護士として将来が約束され、地位も名誉もそしてお金も手に入れることができるはずでした。

「本当にほしい物は手に入らない」

そういって死を選んだ有馬。

烏丸は親友の死をどう受け止めたのか。

寄り添えばよかったという後悔と自分ができることは何もなかったのではないかという葛藤。

一年間かけて親友の死を乗り越えた烏丸。

烏丸と有馬の関係、そしてエリート弁護士の葛藤と苦悩について考察してみました。

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